【最新版】胞子培養うまくいった事例と手順マニュアル

ビカクシダの胞子培養を3年くらいやってみてコツがだんだんわかり、鉢上げ&板付けまでいける確率が上がってきました。

 

ちょっと前にこちらの記事で胞子培養の手順を紹介しましたが、

ビカクシダの胞子培養のやり方は?手順や用意する道具、前葉体を出すまでの過程を解説

ちょっとやり方が変わったので枯らすことなくより効率的に元気に育てる最新版の手順を今日は紹介します。

これから始める方の参考になればと思います😌

ビカクシダ 実際の成長過程

前葉体の出始め(1〜2ヶ月)

前葉体が出揃う(1〜3ヶ月)

画像はスペーシング後。

一面びっしり生えたり、前葉体がわさわさしてきたら生育は順調です。

この状態になったら霧吹きしたり、水滴を垂らすことで受精を促せます。

胞子体が出始める(3〜6ヶ月)

見慣れた植物の若葉のようなものがでてきたら受精成功です。

この葉っぱを大切に育てていくと立派なビカクシダへと変貌していきます。

鉢上げ(6〜12ヶ月)

狭い容器でこれ以上育つことができないタイミングで鉢上げ。

引き続きピートモスで育てても良いのですが、私はこのタイミングで水苔にチェンジしてしまいます。

板付け(9〜12ヶ月)

私達がイメージする「ビカクシダ」の姿に近づいてきました。

板付けして吊るすことで風通しが良くなり、乾湿を繰り返すことでぐんぐん大きくなってきます。

ビカクシダ胞子培養に必要な5つのアイテム

①ビカクシダの胞子

まず育てたいビカクシダの胞子を用意しましょう。

 

入手方法は、

①ビカクシダ専門店で購入

②品種の胞子をネットで購入する

③育てているビカクシダの胞子葉から採取する

といった方法があります。

 

中々胞子専門で販売しているお店はないのですが、メルカリやらヤフオクとか見れば結構な種類が出品されていますよ。

ただネットで買う場合一般人が出しているものは、品質が保証されていなかったり本当にその品種の胞子なのか?は育ててからでないとわからないので覚悟の上で購入しましょう。

育ててみたら別品種だった!みたいなことは経験上ないですけど、ありえないとは言い切れません。

②培養するための土(変更点あり)

胞子を育てるための土におすすめなのは、ピートモスです。

①栄養価が高い

②通気性・保水性が良い

③酸性よりでビカクシダの生育に合っている

 

私は最近では肥料入りのピートモス「ジフィーミックス」を使っています。

ジフィーミックスはコスパが良くて、ジフィーセブンのように水で戻す必要性がないので使いやすい。

(ジフィーセブンを水で戻してから包装紙を破いて、平らにならして代用してもOKです)

 

最初は市販のピートモスをふるいにかけて細かくしたものに液肥をかけて蒔き床にしてたのですが、発芽率は圧倒的にジフィーの方がよかったですね。

発芽に効果的なフミン酸が入っていたり、初速出すうえで必要な肥料が入ってるからだと思います。

あれこれ調べるのがめんどうって方も「とりあえずジフィー使っとけ」ってくらいにはおすすめです。

③カゴ付きプラケース

100均で買えるカゴ付きプラケース

同じような容器がダイソーにもセリアにもあるので、どこでも手に入ると思います。

なんでカゴが必要なの?って疑問があるかもしれませんが、カゴがあると水分の調整がしやすくなります。

 

例えば前葉体が出たあとにちょっと液肥を足したいってとき。

土の水分が十分なのに、そこにさらに追加で液肥を入れたらびっちゃびちゃになりますよね。

 

でもカゴをかませとくと、余分な水分は全部下に落ちて、必要な水分だけキープされます。

 

私も最初は「カゴってなんで必要なん?」ってわからぬまま見様見真似でとりあえず使ってました。

実際に使ってみて感じたメリットは水分量の調整ができるという部分でした。

ただ、水分調整に慣れればカゴなしでも全然育てられます。

④茶こし

100均ので十分です。なんでもOK。

目が荒すぎると全部胞子が一箇所にドバッ!と落ちていくので、目の細かいものがおすすめ。

ただハイテック茶こしのような細かすぎるものは胞子が落ちていかなくなる可能性があるので、普通のちゃこしをおすすめします。

⑤ライト

何でも正直そこまでスペックはいらないので、熱帯魚用でも植物用でも、普通のLED電球でも蛍光灯でも、何でもOKです。(迷ったらAmazonで売ってるやっすいLEDライトでOK。)

家では熱帯魚用に1000円で買った小さなLEDライトを使ったりしてますが、それでも十分に育っています。

太陽光でも育ちますが苔がばっこり出てきちゃうので、ライト使うのが最初は無難だと思います。

「植物用」と書いてあるものなら間違いありません。

胞子培養の手順

手順1 器具の消毒

胞子培養の最大の敵は「カビ」です。

まず使う道具はすべて消毒します。

熱湯消毒できるものは沸騰させた鍋に数分ぶち込むか、お湯をゆっくりかけ回すかします。

熱湯消毒できないものは、アルコール消毒をしておきましょう。

あと意外と盲点ですが、ご自身の「手」も消毒しておいてくださいね。

手順2 土に水分を吸わせる

ジフィーミックスを容器にいれ、お水を加えます。

まぜまぜして、水分を均等にしていきます。

蒔き床の厚さはだいたい3〜4cmもあれば十分です。

画像ではかごを使っていませんが、このタイミングでかごに移しましょう。

 

水分の目安は「泥だんご」を作る時くらいの水分量です。しっかり湿り気があり、ぎゅっと握ると団子にできる固さです。

強く握るとわずかに水が滲み出てくるのを感じ取れるくらいですね。

逆に水分が多すぎるとべちゃっとなって、握っても泥だんごにならないレベルだと水分多すぎの合図です。

少しずつ水分を加えながら、調整してみてください。

手順3 茶こしで胞子をまく

できるだけ蒔き床を平らにならして、でこぼこができないようにします。

その上に茶こしで胞子を蒔きますが、一箇所にたくさん蒔きすぎないように注意です。

できるだけまんべんなく、重なり過ぎないよう蒔くのがポイントです。

(胞子1gに対して15センチ前後平方の容器なら十分な密度で発芽します。)

 

胞子嚢の繊維質のゴミが付いていたらカビの原因になるので取り除きましょう。

 

蒔いたら付属の蓋をするか、ラップをしてゴムで止めて乾燥しないように管理していきます。

蓋が完全に透明でなくても光がある程度透過するものなら大丈夫です。(この容器と同じ素材の蓋をしても前葉体は出てきます。)

ラップ&ゴムの場合ゴムが劣化していつの間にかちぎれてる → ラップが緩んでいつの間にか乾燥して焼け野原 みたいなことが起こるので最初は蓋でOKですね。

手順4 1日に8〜14時間ライトの下で管理

蓋をしたらあとは発芽を待つのみです。

温度は体感ですが、20〜28℃ほどがおすすめです。

体感的には15℃以下になるとかなり遅くなり、30度を超えても動きが鈍くなる印象ですね。

最低でも20℃以上はキープしてあげれば問題なく早ければ1〜2ヶ月で前葉体がでてきます

1日に8〜14時間くらいライトを当てておけば、前葉体も問題なく生育します。

前葉体が出たら何をする?

前葉体が出揃うまでは基本的に何もすることはありません。

びっしり一面に茂ったのに胞子体が出てこない場合は軽く霧吹きをして受精を促しましょう。

胞子体が出てきたら?

一株ずつスペーシングしてあげることによって、成長を早めて大きくできます。

2センチ前後間隔を開けて、1センチ平方くらいにピンセットなどで分解して蒔き床に置いていきます。

スペーシングについてはこちら

管理の際の5つポイント

①胞子は乾かしてから蒔くと発芽率が高い

ビカクシダの胞子は「胞子嚢」という輪っか状の袋の中に詰まっています。

この袋が乾燥することで破裂して胞子を飛ばす仕組みなので、乾燥していない状態で蒔くと発芽率が低くなります。

心配な場合は新聞紙や紙封筒などにくるんで1週間ほどおけば十分に乾燥しますよ。

②温度は重要

温度が低いと前葉体が出始めても、なかなか大きくならず成長が止まります。

室温は最低でも15℃、高くても28℃くらいの間でよく育っている印象です。

20℃を超えだした頃から見るからに動き始めるので、室温が低い場合は春頃に胞子を蒔くといいでしょう。

③蒔き床は絶対に乾燥させない

乾燥させると胞子培養は終わります。

全体的に茶色になって焼け野原になったように枯れ込みます。

カビや苔に覆われた状態から復活する可能性はありますが、焼け野原状態からの復活はほぼ望めないので、絶対に乾燥させないように密閉して高湿度を常にキープできる環境を作りたいです。

④カビを生やさないように管理する

カビは胞子培養の一番の敵と言っても良いです。

逆に言えばカビを生やさない、もしくは発生しても対処できれば胞子培養の成功確率はぐんと高まります。

といっても、何度も蓋を開け閉めしない、最低でも3日おきにはこまめに観察とかしていれば大丈夫です。

カビが生えてしまったときは市販の「ベンレート」という薬剤を使えば、株にはダメージなくカビに対処できます。

詳しいカビ対策の記事に関してはこちらで御覧ください。

⑤前葉体が出てこない

ビカクの種類や環境によって前葉体が出るタイミングはまちまちです。

早いものは3週間で出てくるけど、遅いものは2ヶ月かかるなんてことも環境によってはあります。

気長に待つことも大事です。

さすがに半年待ってもまったく出てこないという場合は暖かくしたり、光を強くしたりなど環境を変えてみる必要はあると思います。

また胞子の状態が悪かった可能性があるので、原因を考察して再チャレンジしてみましょう。

そういう意味では最初は安い胞子を買ってみて練習してから、本当に育てたい品種の胞子を蒔いてみるのも良いですね。

2万円で買った胞子がまったく芽吹かず…みたいな状況になったらかなりショックですからね。

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